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管楽器を吹く方へ~歯科受診のすすめ

テーマ:健康情報 2010.05.12

ようやく暖かくなってきましたね。医院のヤマボウシも芽吹いて鮮やかな新緑が青空に映えます。

なんて思っていたら、昨日は土砂降り‥‥などと天気も変わりやすいので、皆さん風邪などひかれませんよう気をつけてくださいませ。

さて、今日は管楽器とお口のお話。

管楽器を吹く人は、マウスピースやリードを口唇にあてて息を吹き込み音を発生させます。演奏中は様々な表情筋を動かします。管楽器吹奏時に歯はマウスピースに接触したり、唇の裏から支えたり様々な役割を果たしています。つまり、歯は楽器の一部なのです。歯だけでなく表情筋やそれらが作る口腔という空間や機能を含めて共鳴体となるわけです。

歯列不正があると、筋肉のバランスが悪く吹きにくかったりします。歯列不正によって過度に筋肉が緊張したり口唇が圧迫されますし、うまく口を閉鎖できず息が漏れたりします。
その結果、口唇に傷がついたり、口の周囲の筋肉が疲れてバテる原因となります。

こういったトラブルを回避するために八重歯を抜歯したり歯を被せ治したりすることが必要になることもあるそうです。ただ、天然歯を傷つけますので必ずしも受け入れられるわけではありませんから、「金管用アダプター」を用います。歯型をとって模型上で歯列不正部分を補正するようなマウスピースを作り、吹奏時にのみはめるというものです。それによってバテや傷が回避される可能性があります。

ただ、矯正治療に関しては賛否両論あり必ずしも歯列が整ったからと言って楽器がうまくなるというものではないらしいです。

不幸にして虫歯などで歯を削ってかぶせたり、ブリッジなどを入れる場合、歯科医には必ず自分が管楽器を吹くんだということを伝えてください。長い補綴物(かぶせもの、ブリッジ)を入れる時などは特に、プロビジョナルレストレーション(実際の補綴物を入れるための参考にする仮歯)における調整、吹奏感の確認などが重要になってきます。もうひとつ大事なことは前もって自分の歯型をとっておくことです。歯科医はそれを参考にすることができます。ただし被せものという性質を考えると必ずしも模型と同じ歯の形が再現できるとは限りません。そして口の中の状態は一定ではなく加齢や歯周病によって変わってきますから、再現できたからと言って必ずしもそれが現在の奏者にとって最良の形態であるとは限りませんから、きちんと歯科医と相談しながら慎重に進めていく必要があります。

管楽器奏者はおそらく口腔のメインテナンスに気を使っていらっしゃる方がほとんどだと思います。もし歯が失われた場合以前のように吹けなくなることがあります。普段から、歯周病のメインテナンスをしておく必要があります。歯周病のある歯はマウスピースなどから受ける外力により悪化しますし、また、歯の位置が移動してきます。このため、吹いていない時(例えば睡眠時)にマウスピースを装着し歯を保護し位置を保つことも有効でしょう。

そもそも、ぐらぐらの歯では食事もままならないわけですが‥‥。

三度の食事より楽器の好きな皆さんもお口のメインテナンスは大事ですヨ。

                                                                                                   

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