■ カテゴリー: 歯周病予防
口腔ケア~誤嚥性肺炎の予防~
こんにちは。毎日じめじめしていて洗濯物が乾かない季節になりました。素肌にまとわりつく湿気もそんなには嫌いじゃないです。でもまだ夏本番には遠いようで気温はそれほど高くないので窓を開けて診療できるし、気持ちがいいです。
今日は口腔ケアの話。去年介護保険点数の改正で口腔ケアの加算がついたことなどから口腔ケアの重要度が社会的にも認められてようやく制度が追いつこうとしているのかな、と少々期待を持ったりしています。
お口から気管を通って肺に入り込んだ細菌が、肺炎を引き起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎といいます。
私たちの体は、食物を飲み込むときに気管にフタ(喉頭蓋)をし、気管や肺へ異物が入るのを防ぐ仕組みになっています。この反射が低下するお年寄りに、多く起こります。気づかないうちに飲み込んだものが気管から肺へ流れ込むことがあるのです。
加えて、気管支の働きや体を守る力(免疫力)も弱くなるため肺炎にかかる危険性が高まるのです。
お口の中の細菌が肺炎の病巣から見つかったという報告もありますし、統計的に口腔ケアをきちんとやっていたお年寄りでは発熱の頻度が低かったとも言われています。
誤嚥性肺炎の防止のために積極的に口腔ケアをしましょう。
ただし、口腔ケアをする際にはお年寄りの協力が得られる場合もあれば、お口を開けるのを極端に嫌がられるケースもあります。お口どころか日常的な身体介護すら大変な場合とても口腔ケアまで行き届かない事もあるかと思います。
また、歯のあるお年寄りの場合、ケアワーカー側が咬傷を負うケースもあり、指ガードなどのグッズもありますが、プラスチックでできているためにかえってお年寄りの上顎に傷をつけてしまってはと不安がる声もお聞きしました。
いずれにしても根気よく接していくほかないのですが、一緒に訪問診療に回っていた口腔ケア担当の歯科衛生士はとにかく打ち解けるところから、お名前をお呼びしこちらの顔を覚えてもらうことからはじめていたように思います。
お口の中の管理の難しくなったお年寄りをこれまで沢山診てきましたし、歯の治療もしたし入れ歯も沢山作ってきましたが、厳密なメインテナンスが出来ない状態で歯があるということは現実問題としてとても大変なことです。歯の痛みというのは時として悶絶するほど強いものです。それを周囲の人や歯科医に適切に伝えられない場合もあります(食欲がなくなったとかでケアワーカーや家族が気づいたりもしますが)。そして前述した誤嚥性肺炎の問題もあります。いくら口腔ケアしても虫歯の穴だらけのお口の中、どれだけの細菌がいるだろう。かといって全身状態、認知症の問題から多数歯の抜歯は困難で削ったりする虫歯治療も困難ということも日常茶飯事です。
そうなってくると8020(80さいまで20本の歯を残そうというスローガン)が有病高齢者にとって果たして本当に幸せなことか?などというジレンマにおそわれてしまいます。歯医者にあるまじき発言ととられるかもしれませんが……。
私に出来るのは結局はその時その方に適した治療なりケアなりを提供するべくああでもないこうでもないと頭を悩ませたり、最新の技術を取り入れたり、時には基本に立ち返って古くから認められた治療を再確認してみたり、積み重ねていくことなのかなあって思うのです。
ではでは、今日はこの辺で。
私も歯を磨いたあとは明日の診療に備えて休養をとるといたします。
マタニティ歯科~虫歯と歯周病に注意~
近頃、あんまり天気が良くありませんね。四月の中旬だというのに夜はコタツから出られません。
コタツをいつ片付けるか‥‥それが問題です。皆さんとっくにしまわれたのでしょうか。
結局今夜もコタツに足を突っ込みながら、次のブログは何にしようかな~って考えてたところ、友人の「おめでた」メールがパソコンに着信。そういうわけで今日は妊娠中のお口のことを話題にしようと思います。
女性は、妊娠すると、ホルモンバランス(女性ホルモン)の関係で、虫歯や歯肉炎などお口のトラブルを起こしやすくなります!
女性ホルモンが唾液の量や免疫系に影響を与えたり、ビタミン新陳代謝が障害されてさまざまなトラブルを引き起こすのです。加えてつわりがひどくて歯磨きがよくできなかったり‥‥。食生活や嗜好の変化なども虫歯多発の原因になります。
ご自身の口腔疾患に加え、歯周病菌は、早産・低体重児出産のリスクを高め、虫歯菌は母子感染により生まれてくるお子さんの虫歯リスクを高めることとなります。
本当は、妊娠前から予防・治療はされておいた方がいいと思います。妊娠中の口腔疾患の多くは、きちんとした口腔管理が出来ていればそれほど悪化することはないのです。仮に口腔内が良くない状態で妊娠なさったとしても、妊娠をきっかけに、検診を積極的に受け、虫歯・歯周病の状態を知るのは大事なことです。妊娠中でも治療の出来る時期はありますし、同時に予防の正しい知識と方法も、生まれてくるお子さんのためにも身につけていきましょう。